家庭内暴力(DV)
◇概要
ドメステック・バイオレンスは家庭内暴力を意味し、厳密には子どもへの虐待、子どもの親に対する暴力など、家庭内で起こるすべての暴力行為を含みます。しかし、現在日本では、夫婦や恋人同士など、パートナーから受ける肉体的、精神的な暴力を指す言葉として一般的に使用されています。
内閣府が2002年に実施した調査によると、15.5パーセントの女性が夫・パートナーから身体的暴力を受け、5.6パーセントが脅迫を受け、性行為を強制させられた女性が9.0パーセントという結果が出ています。13.8パーセントの女性、8.2パーセントの男性が配偶者・パートナーの暴力により命の危険を感じています。
アメリカでは年間400万件もの家庭内暴力が警察に報告されており、うち約20パーセントは男性による女性や子供に対する暴力と言われています。
◇家庭内暴力の種類
・身体的暴力
・言葉の暴力
・心理的暴力(無視するなど)
◇DV防止法(日本国内)
2001年10月、配偶者からの暴力の防止および被害者の保護に関する法律(通称DV防止法)が施行されました。(2004年12月改正)
DVは以前までは家庭内の問題として捉えられており、警察の保護は受けられませんでしたが、DV防止法により、配偶者の暴力は人権を損害する重大な問題であり、犯罪であることを明確にし、DVの防止、被害者の保護のため、法律が制定されました。
◇DV防止法の主な目的
・DVを防ぐ
・DV被害者を保護する
・法律で加害者を裁く
◇DV防止法で保護されるのは?
被害を受けた配偶者(男性、女性を問わない)。元配偶者や元事実婚の配偶者を含む
◇保護命令
被害者が身体的暴力によって、生命の危険や身体に重大な危害を受けた場合に、地方裁判所が加害者に対し発する命令。「接近禁止命令」と「退去命令」があります。保護命令は身体的暴力のみが対象となります。
◇接近禁止命令
被害者および被害者と同居している未成年の子供に6ヶ月間接近しない。
◇退去命令
2ヶ月間の住居からの退去と住居周辺の徘徊の禁止します。
◇保護命令の違反
1年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
各都道府県や市町村に配偶者暴力相談支援センターや女性相談所が設置されており、カウンセリング、一時的保護、健康回復のための指導、情報提供など被害者への援助を実施しています。
被害者の精神的影響を軽減するためには、フェミニスト・カウンセリングが有効とされています。このカウンセリングは、女性の暴力被害に関して、理解が期待できるとされており、女性センターや民間の相談機関で実施されています。