いじめ
子どもたちにとって、いじめが与える影響は計り知れないほど大きなものです。また、子どもが問題を自ら抱え込み、加害者に対する無力さを感じることで、いじめの影響はさらに深刻化します。保護者にとって、自分の子どもがいじめの被害に遭っていると認識することは受け入れがたいものです。
◇いじめとは
いじめの種類は多岐にわたり、いじめを受けている子どもがその行為をいじめと認識していない場合もあります。いじめのきっかけとしては、友達同士のささいな喧嘩から個人の身体的・性格的特徴によるものまで、さまざまな要因が考えられます。いじめの方法についても、暴力、無視、差別用語の使用などのほか、時には性的な嫌がらせなど、さまざまな行為が挙げられます。
文部科学省は2007年1月、同省が調査で用いるいじめの定義を見直し、「子どもが一定の人間関係のある者から、心理的・物理的攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの」としています。また同省は、いじめか否かの判断は、被害者の立場で行うよう強調しています。
◇いじめの行為
・感情的な揺さぶり:加害者が被害者の言うことを無視する、被害者の過ちを笑う、被害者の持ち物を盗む、被害者を仲間外れにする
・言葉による虐待:加害者がしつこく被害者の名前を呼んだり、陰で被害者の噂を流す行為
・暴行:加害者が被害者を殴打するなどの肉体的危害を加える行為や、髪を引っ張るなどの嫌がらせ
子どもがいじめに遭っている場合、以下のような兆候がみられることがあります。
・ある時から突然学校に行きたがらなくなる
・体に普通以上の切り傷やあざがある
・服が破られている
・持ち物が無くなる
・気分が変わりやすく、引きこもりやすくなる
・宿題が捗らない
・心配事が多い
◇保護者の対応
・まず最初に、子どもと学校でその日に起こった出来事について話す機会を作る。万が一、子どもがいじめのことを話しても、被害の大きさに関わらず落ち着いて前向きに接する。
・いじめのことを親に打ち明けるのは正しいことだと伝え、いじめはその子の責任では無いと説明する。
・学校に直ちに連絡する。担任や学校のカウンセラーにアドバイスを求めるとともに、いじめの報告が正式に学校に記録されたことを確認する。また、学校がいじめに対する対策を講じていない場合は、クラスでの話し合いやカウンセリングなど、学校側といじめを抑制する対策の導入を検討する。
・子どもにどこでいじめが起きているか聞き出し、学校側に伝える(例、トイレ、校庭など)。これにより、被害者が告げ口などの疑いをかけられることなく、教師がいじめの現場をおさえることができます。
・いじめが続くような場合、また、学校側の対応に満足できない場合には、校長および教育委員会に苦情を申し立ててください。いじめに関する出来る限りの詳細を記録し、保存してください。いじめがさらに続き、子どもが肉体的および性的暴行を受けた場合は、直ちに警察に報告してください。