レイプ・性的暴行
レイプ、性的暴行は深刻な犯罪で、誰もが被害に遭う可能性があります。レイプは大抵の場合、男性によって行われ、女性、子供、ときには男性も標的になっています。16歳から25歳の年齢層が最も被害に遭っており、デートレイプの被害に遭いやすくなっています。
レイプは恋人や友人、家族といった顔見知りによる犯行が多く、ほとんどは個人宅で起こっています。また、レイプを含む性的暴行は、アルコールの摂取が多い場合に発生しやすいことも判明しています。
◇レイプとは
レイプとは一般に、脅迫や力によって行われる、膣や口、肛門などあらゆる形態の性行為を意味します。酒に酔っていたり意識を失っている相手に対する犯行もレイプに含まれます。レイプや性的暴力の動機は性的要求を満たすことだけではなく、支配力を誇示することにもあります。
◇性的暴行とは?
性的暴行とは、被害者の意思に反するすべての性的接触を言い、薬物混入による意識の混濁状態を利用するなどの手口でも起こり得ます。痴漢、セクハラなども性的暴行に当たります。
性的暴行は被害者にとって、特に海外渡航中は恐怖であり、過酷な経験です。性別、年齢、宗教、人種に関係なく誰もが被害に遭う可能性があります。
性的暴行は夫、パートナー、親戚、隣人、会社上司、友人など顔見知りによる犯行が多いですが、旅行中は見知らぬ人による犯行が通例です。ほとんどの被害者は女性ですが、男性も被害に遭うことがあります。
◇レイプを避けるには
性行為は常に、双方の合意の上で行われなければいけません。拒絶の意思表示は明確にする必要があります。
見知らぬ人による犯行
・常に周囲の人、状況に対して警戒しましょう。
・油断せず、自信を持って歩きましょう。自信のある身のこなしは、犯人の攻撃性を挫きます。
・可能ならば、一人歩きせず、友人と行動しましょう。
・もし、ある人物や、何かに不快感を感じたら、直ちにその場から離れてください。引き返す、通りの反対側に渡るなどし、付近の公共の場において助けを求めましょう。
・明るい場所や人通りの多い場所を通るようにし、近道は避けましょう。ジョギングやサイクリング時も同様です。
・ヒッチハイクは決してしないでください。
・帰宅時、玄関に着いたらすぐにドアを開けられるよう、鍵は手に準備しておきまししょう。家に着いたら、その旨を知人などに電話で連絡することをお勧めします。玄関の電気を点け、必ず鍵を掛けましょう。カーテンやブラインドはどの窓にも付け、可能であれば、特に1階の窓には格子を取り付けましょう。
・就寝時は窓を閉めましょう。
・ドアにのぞき穴を取り付け、見知らぬ人に対してはドアを開けないようにしましょう。
・電気会社やガス会社から人が来た場合には、必ず身分を確認して下さい。予約なしに訪問を受けた場合は、その会社に電話を入れ確認しましょう。
・身分が証明できるまでは、見知らぬ人を建物に入れないようにしましょう。
・危険を感じた場合には、周囲に助けを求めてください。「レイプ」と叫ぶよりも「火事だ」と叫んだほうが効果的です。
デートレイプ
・友人や交際相手を改めて見直し、あなたのことを尊重してくれる人と、付き合うようにしましょう。もし、あなたの友人が性に対してオープンであれば、他人はあなたもそうであると見るかもしれません。
・交際相手は慎重に選びましょう。
・たいていのデートレイプは被害者、または、加害者の部屋で起きています。デート相手の家に呼ばれたときは、慎重に判断してください。
・交際初期には郊外へ行くのは避けましょう。また、仲のいい友人などに同行してもらうことで余裕が生まれ、交際相手のことを更によく知る機会を得ることができ、交際を続けるか否かの判断をし易くなります。
・交際相手のことをまだよく知らない場合は、友人とのダブルデートをアレンジしましょう。それが無理であれば、公共の場で会うようにし、帰宅の際は、公共交通手段や自分の車を利用してください。
・誰も強制的にあなたに何かをする権利はありません。自分の身体は自分で守りましょう。キスをされたくなかったり、触れられたくない場合は、はっきりとその意思を伝えてください。そうすることにより、自分自身の選択によって行動できる独立した女性であることを示すことができます。
・男性はあなたの意思を別の意味に捉えてしまうかもしれません。間違った意味のサインを送り、勘違いされないように相手に対する言動に注意してください。
・もし、プレッシャーを与えられていると感じたときは、自分の勘を信じ、即座にその場を離れてくだい。もし、状況が手に負えないようであれば、大声を出して意思を示してください。
・アルコールと薬物はしばしばデートレイプに使用されます。お酒を飲む場合は自分の行動に責任を持ってください。一般的にデートレイプドラッグと呼ばれる薬物、ロヒプノール(別名ルーフィーズ、R2、ローチーズ、リブ、ラロッシュ)は色、味、匂いがなく、飲み物に混入されても気づきません。摂取すると意識が朦朧となり、周囲の人々は酔っ払っていると考えます。レイプや性的暴行を受けたことに気づくのは大抵、被害者の意識が戻った後となります。
・他のデートレイプの手法は、フェンシクリジン(PCP)を溶解したホルムアルデヒドをタバコに染み込ませるものです。別名「フライ」タバコといわれており、これを吸引すると、意識が混濁します。見知らぬ人からは特に手巻きのタバコはもらわないでください。自分のタバコを買い、常にハンドバッグもしくはポケットに所持してください。
・疑わしいお酒や薬物を勧められたら、きっぱりと断りましょう。
◇性的暴行を受けた場合は、どうしたらいいですか?
・さらなる暴行を避けるため、現在いる場所が安全か確認してください。
・信頼できる知人に連絡を取るようにしてください。
・冷静を保ち、何をするべきかを把握してください。
・警察や性的暴行のホットラインなどに連絡し、アドバイスを求めてください。
・もし警察に被害届けを出す場合、入浴やシャワーは検査が終わるまで控え、着ていた服やシーツなど証拠となるものは警察が調べるまでは、そのままにしておきましょう。
・以下は警察がよく尋ねる質問です。
– 犯行現場はどこですか。
– 救急車が必要ですか。
– 加害者は知人ですか。
– 加害者の特徴は(年齢、身長、体格、人種、髪型、服装など)は何ですか。
– 加害者は車を持っていますか。そうであれば、ナンバープレートの番号を知っていますか。
・妊娠やエイズ、性感染症の疑いを考え、検査を受け、必要な医療上のアドバイスを受けてください。
・自分を責めないでください。
・事前に渡航先のレイプ危機センターや領事館の住所を調べておいてください。領事館では以下のような援助を提供しています。
– 警察に通報するための援助
– 医療や法的な支援に関する情報提供
– 現地の医師や弁護士の紹介
– 緊急援助費用として資金貸出し
– 帰国便と宿の手配に関する支援