夜間の運転
車を運転する際、判断力の90パーセントは視覚に頼っていると言われています。特に夜間の運転は、視界が大幅に制限されることから、危険を伴います。日没後は奥行きや色の識別能力、視野が限られます。また、距離感も限られ、曲がり角やカーブの認知も困難になるため、日中の運転よりも注意が必要です。雨天時や降雨後では、路面の反射などがこの状況を悪化させ、特に色覚障害を持つ運転者には危険となります。
夜間の交通事故による死亡率は、昼間のそれと比べてみると3倍にもなると言われていますが、多くの人はこの事実を認識しておらず、その危険に対処する方法を知らないのが現状です。週末の夜が最も致死率の高い事故が起こりやすくなっています。飲酒運転、薬物を使用した運転手、夜盲症の運転手がいるかもしれませんので、接近してくる車や追い越しをしようとする車両には注意してください。
年配の人々が夜間に運転をする場合、視界がさらに限られます。例えば、50歳の人は30歳の人と同じ視界を確保するのに、2倍の明るさが必要だといわれています。その他、夜間の運転で危険要因となるのは疲労です。疲労から起る眠気は集中力を妨げ、反応速度を鈍くするため、大変危険です。
夜間に運転する際の危険を最小限に抑えるため、以下のアドバイスを参考にしてください。
◇運転前
常に車を夜間の運転に適した状態にしておくことが必要です。以下に挙げる項目を確認してください。
・ヘッドライトが点灯するかを確認してください。ライトを点けずに運転することは法律違反になります。
・ライトが正しい方向を向いているか確認してください。ライトに不備があると視界が狭くなるだけでなく、他の車の視界を妨げることにもなります。
・ヘッドライト、テールライト、ウインカーなどのカバーが汚れていなかを確認してください。
・内側と外側、両方の窓が清掃されていることを確認してください。喫煙をされる方は特に清掃が必要です。
・ウインドーウォッシャー液が十分であるかを確認してください。ワイパーが損傷している場合は、すぐに取り替えてください。
◇運転中
夜間での運転中は
・ヘッドライトの明かりが届く距離に適した速度で走行してください。法定速度、またはそれ以下での走行が適当です。夜間は視界が限られ、昼間と比べ危険を察知する認識力が低下するため、より慎重な運転が必要です。
・ヘッドライトはカーブ、上り坂、急な下り坂になると、照射範囲が限られるます。そのため、路上には運転者から見えない場所が多く出てきます。必要に応じて減速しましょう。
・対向車のヘッドライトを直視することは避けてください。まっすぐ前を向き、対向車のライトから視線を少しそらすようにしてください。
・夜間は他の車の速度や距離の判断が困難です。速度を抑え、車間距離を十分に取ってください。速度が上がれば、それだけ制動に必要な距離、時間が長くなり、停止などの反応に必要な時間が限られます。
・世界中どこででも、夜間のヘッドライト点灯は法律によって定められています。しかし、点灯と消灯の開始時間は国によって様々です。このことから、多くの国では日没の30分前(街灯がつき始める時間帯)から日出後の30分の間までをヘッドライトの点灯時間と定めています。
・日本では可視距離が50メートル以下になる時、およびトンネル内を走行する時にライトを点灯することが定められています。可視距離の短縮は夜間に限らず、霧、雨、雪などによって発生します。そのため、いつライトを点灯するかに関しての責任は運転者に委ねられています。
・夕暮れ時または夜明けには、眼球が急激に変化する光に適応するため、非常に視界が狭まります。その時間帯の運転は危険を伴うため、不安を感じる場合は迷わずヘッドライトを点灯させましょう。