洪水
長期的に大量の雨が降ることにより、河川の水位上昇や堤防の決壊によって、洪水が発生します。河川付近や低地に住んでいる場合、洪水の被害に遭う危険が高まります。
◇鉄砲水
鉄砲水は予告なく発生することがあります。遠隔地の雨が鉄砲水をもたらす場合があるため、付近で雨が降っていなくとも警戒が必要です。豪雨が続く場合や、山岳地域にいる場合は、最新情報や警報に注意を払い、高地に留まるよう心がけてください。
都市部から離れた野外で、河川付近にいるときに、地響きを聞いたり、逃げる動物を目撃するなど、異変を感じた場合は、高台に避難してください。このような現象は多くの場合、鉄砲水の前触れとして起こります。
警報が発令された場合は、すぐに高台に避難するよう心がけてください。警報は通常、付近で鉄砲水が発生した場合または発生する恐れのある場合、そして日本では一般的に大雨洪水警報として発令されます。荷造りなどをせず、すぐに避難するよう心がけてください。
◇事前対策
家族で緊急時の計画を立ててください。
・緊急時の集合場所を事前に決めておいてください。
・地方自治体、学校、会社等が定める避難場所を家族内で確認してください。
・家族全員が集合場所などの計画を熟知してください。特に子どもには定期的に内容の復習をさせるよう心がけ、学校、職場、住所変更の際など、1年に1度は内容を確認してください。
非常用持ち出し袋を準備し、家族全員がわかる場所に保管してください。最低限の装備として、下記の基本的な物品を準備してください。
・電池式ラジオ
・懐中電灯
・予備の電池
・一人当たり1日3リットルの飲料水と保存食
・飲料水用浄化剤
・ろうそく、マッチまたはライター
・ナイフ
・ロープ
・食器
・救急箱
・ビニールシート
・寝袋または毛布
・現金
・地図
・着替え(冬季は暖かい服)
・予備のめがね、補聴器、入れ歯など
・常備薬
・トイレットペーパー
・ゴミ袋
・最低3日分の非常食。
・多機能カンきり
避難までに時間があり、可能な場合は、下記の措置を取ってください。
・その他キャンプ用品などの用意をすることで、有用になることがあります。
・洪水により水が汚染される可能性があるので、風呂釜や流しを漂白剤で清潔に洗い、飲料用などのために水を溜め、予備の水をペットボトルに確保してください。
・貴重品を家の中で最も安全で高い場所に移してください。
◇避難が必要な場合
一般的対処として、洪水警告が発令された場合は、速やかに避難を開始し、高い場所に移動してください。避難の際には、可能な限り、河川や低地を横切ることは避けてください。
自治体などにより避難勧告が出される場合があります。避難勧告は洪水の規模やその被害予想を基に発令されますので、躊躇せず速やかに避難してください。できるだけ速く避難することが、身の安全を確保することに繋がります。万が一逃げ遅れた場合は、屋根などできるだけ高い位置に上るよう心がけてください。自発的に避難する場合は、当局に現在の所在地、目的地を報告してください。
避難する前には
・貴重品や文書類を集め、安全な場所に保管してください。
・電気、ガス、水道を止めてください。
・非常用持ち出し袋を携帯してください。
◇洪水の間
・洪水の中を出歩くのは避けてください。洪水による死亡者のほとんどが溺死によるものです。その時の水位が低くても、速い流れに突然足をとられる場合があります。
・深さ、流れを確認せずに、水に入ることは避けてください。万が一、水の中を歩かざるを得ない場合は、棒切れを使い、深い箇所に過って入らないよう注意し、ガラスなどの破片を踏む可能性があるので丈夫な靴を履いてください。
・洪水の水の飲用は避けてください。洪水には有毒な物質が含まれており、死に至る感染症に感染する危険性があります。飲料水の供給が絶たれた場合は、ペットボトルの水や湧き水、雨水、洪水の影響を受けていない河川の水を飲むようにしてください。水の消毒には、煮沸、殺菌、蒸留などがあります。
・洪水地域では、車の運転は控えてください。運転中に溺死したり、車ごと流されるケースが多数報告されています。封鎖されている道路の反対側へ行くことは避けてください。バリケードの向こう側の道や橋は流されているかもしれません。水の中を運転するのは避け、別の移動手段を考えてください。運転中にエンジンが止まり、再びエンジンがかからない場合は、車から離れ、高い場所に速やかに避難してください。
・万が一運転する際は、安全なルートを当局に確認してください。
・電線の付近は避けてください。電気は水中でも伝わります。切れた電線などを見かけた場合は、当局に報告してください。
◇洪水の後
・洪水の最中に負傷した場合、汚染された水に触れることにより、感染症の危険が高まりますので、すぐに治療を受けてください。
・当局からの指示があるまでは、洪水地域には戻らないでください。水が引き始めたからといって、洪水の脅威が収まったというわけではありません。
・洪水、地すべりなどの影響を受けた地域は避けてください。安全が確認されるまで、建物内には入らないでください。水による被害のほかにも、ガス漏れや電気系統の損傷が考えられます。これらの損傷を見つけた場合は、すぐに関連機関に報告してください。
・水の衛生状態が定かではない場合は、必ず消毒してください。現地の保健担当機関が安全を確認するまで、水道水の飲料は避けてください。
・帰宅したら、洪水により汚染された食品を破棄してください。
・洪水にさらされた物品は殺菌するか、破棄してください。洪水は通常、道路、農場、工場、下水、建物などから流れ出た汚水や化学物質を含んでいます。
・洪水にさらされた電気機器の利用には細心の注意を払ってください。テレビなどの電気製品はコンセントが抜かれていても感電の恐れがあります。水にぬれた電気機器は、完全に乾くまでは、絶対に使用しないでください。
◇屋内に浸水した場合
・専門家が安全であると判断するまで、帰宅しないでください。帰宅後、家の損傷状況を確認する際には、細心の注意を払ってください。構造上の損傷をチェックし、倒壊の危険がないか確認してください。
・ガス漏れがないか確認してください。ガス漏れがないことを確認し、換気がしっかり行われるまでは、喫煙、ろうそく、ランプなど火気の使用は避け、電池式の懐中電灯を使い、家屋の損傷を確認してください。電気系統や配管系統などの損傷も確認し、火災の可能性に留意してください。電気機器の使用は控えてください。
・地下室がある場合は、排水作業を急激に行わないでください。一度に排水が行われると、圧力が突然変わり、壁が崩壊する場合があります。一日あたり全体の3分の1程度の排水を行うよう心がけてください。