雪に関するアドバイス
冬季には、事前の予報や警告も無く、突如大雪が発生することがあります。これらは、暴風雪、雪崩、道路状態の悪化などを引き起こすだけでなく、積雪により住民が家屋に閉じ込められたり、不慮の事故により負傷者を出すことも予想されます。また、突如発生する大雪により、厳しい寒さに耐えうる十分な防寒対策が講じられないことがあります。老人を初めとする自宅を離れることが困難な社会的弱者が最も影響を受けやすくなっていますが、子どもや屋外での危険作業従事者なども、影響を受ける可能性が高いと言えます。
冬の期間、多くの人々がスキー、スノーボードを初めとする屋外でのスポーツを楽しみますが、これらのスポーツは危険性が高いだけでなく、参加者はしばしば、突如訪れる悪条件や、事故に対応する準備を十分に行っていないことがあります。
雪が降る可能性のある地域においては、考えうる最悪の気象条件に備えた対策を講じることをお勧めします。以下に記載された項目を参照し、厳しい寒さや、大雪に見舞われた場合に起こりうる不測の事態に備えるようにしてください。
◇大雪、厳しい寒さへの対処法
厳しい天候条件の中では、わずか数時間のうちに突如大雪となり、付近の住民だけでなく、地域の救急隊の活動にも影響を及ぼすことがあります。このため、常に不測の事態に備えることをお勧めします。大雪の被害を最も受けやすいのは、老人や子どもといった、悪天候時における準備が困難で、介護や助けを必要とする人々です。
以下は、厳しい悪天候時におけるアドバイスです。
・大雪により、屋根、付近の道路、庭などに多量の積雪が見られることがあります。雪下ろしの際には、安全な足場があることを確認し、雪により確認が難しくなった屋根の幅を間違えたり、踏み外さないようにしてください。重傷を負ったり、場合によっては死亡することもあります。
・屋根や、周囲の建物からの雪の落下に注意してください。屋根に積雪した多量の雪の崩落により、多数の死者が出ています。特に、気温が暖かくなってきた時などは、危険性が急激に高まります。
・積雪の重みにより屋根が崩落する危険があります。日ごろから屋根の積雪を取り除き、もし建物のきしむ音を聞いた際には、即座に外に避難してください。大雪の期間が過ぎた後には、専門の業者に依頼して、屋根および建物に損傷がないか確認をするようにしてください。
・路上で雪かきを行う場合は、足元が凍っていないか、または新雪の下が凍っていないかを確認してください。特に、老人などが転倒した場合には、大怪我につながる危険性があります。
・大雪により、数日間屋内に閉じ込められることを想定し、家庭に十分な蓄えがあることを確認してください。缶詰食品や、チョコレートバー、ケーキなどのような高カロリー食品や、甘いものが十分に備蓄されていることを確認してください。同時に、十分な燃料の確保も忘れずに行うようにしてください。電化製品や、水道の供給は、厳しい天候条件の中で利用が制限される恐れがあるため、これらの利用に頼ることは避けるようにしてください。また、懐中電灯が作動することを確認するとともに、予備電池、マッチなどの準備も忘れないようにしてください。
・家族全員が十分に防寒できる暖かい服の準備と、必要に応じた薬、生活必需品の用意がされていることを確認してください。特に、子ども向けの対策は十分に行うようにしてください。
・家庭の暖房設備が十分に作動していることを確認し、電気、ガスの供給が停止した際の対策を事前に講じるようにしてください。
・悪天候により隔離状態となることが予想される遠隔地、農村部においては、携帯電話、ラジオなどの連絡手段を用意することをお勧めします。また、近隣に老人や、社会的弱者が生活している場合は、天候が改善されるまでの間、常に安否を確認し、必要に応じて生活を共にするようにしてください。
・地域の気象情報を常に確認し、政府または地方行政の指示を仰ぐようにしてください。また、入手した情報は、友人、親戚や、周囲の住民と常に共有するようにしてください。
・暴風雪の際は、外出しないようにしてください。万が一、屋外で遭遇した場合には、付近の建物に避難してください。また、避難の際には建物が積雪や暴風に耐えうる十分な強度を持っていることを確認してください。道に迷ったり、遭難する危険があるため、決して屋外にとどまらず、無理に自宅まで帰らないようにしてください。山岳部や、遠隔地では、急激に視界が狭くなることから、徒歩による下山や、遭難などの被害を避けるため、事前に現在地や、避難場所を確認しておくようにしてください。
・冬の期間においては、路面状態の悪化が予想されます。車の運転の際には、チェーンや雪用タイヤ、三角表示板が装備されていることを確認してください。ブースターコードや、発炎筒、毛布、シャベルのほか、チョコレートなどの非常食、飲料などの準備もしておくことをお勧めします。また、移動に十分な燃料があることや、悪天候に適した車両であるか、整備が十分されているかをよく確認するようにしてください。悪天候の際は、必要外の移動は避けることをお勧めします。
・大雪後の融雪は、洪水や地すべりを引き起こすことがあるため、砂袋を用意するなど、不測の事態に備えることををお勧めします。また、非常時にすぐ利用できる場所に備えておくことをお勧めします。
◇雪崩
雪崩は何の警告もなく突発的に発生する可能性がありますが、ウィンタースポーツの際にはその原因と性質を認識し、避ける方法を知っておく必要があります。雪崩の多くは人為的に起きており、その正しい知識を持つことによって災害を防ぐことができます。次のアドバイスは雪崩の危険性がある場所に行く際に役立ちます。
・新雪が30センチ積もると斜面は急激に危険となり、雪崩の危険性は増加します。
・雪崩発生の危険性が最も高い斜度は35度~55度です。
・スキーやスノーボードをする際、その山の地形を知っておくことは重要です。樹林帯は木々が雪をブロックし、風を防ぐため、安全な地形といえます。
・風速と風向は通常、雪崩の可能性に影響します。風速が上がると雪崩の危険性も高くなります。
・暖かい風は雪を溶かし、雪崩を発生させる危険性を高めます。気温の急上昇は湿雪雪崩の危険性を高めます。
・山に行く際は常に天気予報や雪崩情報を事前に確認することが大切です。
・万が一雪に埋もれた状況を想定し、救助隊に位置を知らせる雪崩ビーコンを用意し、常に携帯してください。
・暖かい衣類などの準備が必要です。携帯電話、トランシーバーの携帯も検討してください。
・出かける前に、必ず誰かに行き先と帰る時間を伝えてください。
・スキー場のコース以外を滑る際には、必ず誰かにルートを事前に伝えてください。コース外のエリアは隔離された場所が多く、もし滑走中に怪我などを負った場合は、救助隊が到着するまで大変な時間かかる可能性があるため、非常に危険です。
・スキー場のコース以外を滑る際には、山岳スキーガイドに相談する、もしくは一緒に滑ることをお勧めします。山岳スキーガイドは危険な場所など、山の特徴を熟知しており、安全にスキー、スノーボードを楽しむことができます。