メディアへの対処
現在の世界では、地域、社会の状況や、経済に影響を及ぼす可能性のある、他人またはその周りで起こる出来事に対する関心が非常に強く、そこには単なる関心だけでなく、自分には知る権利があると主張する風潮が存在します。
また、ある行動に対する責任は、個人または団体という対象に関わらず、等しく追求されることとなります。
結果として、メディアはその要求を満たすために、ある事件について可能な限りの詳細を提供しようとする姿勢、そして情報を得るために取る行動をエスカレートさせてきました。
メディアと関係を持つことはほとんどの場合、多くの企業や個人にとって建設的で双方に有益なことです。
しかしながら、個人、団体ともにメディアからの望まない注目を浴びることにより、不当なプライバシー侵害を受けることもあります。
言論の自由を考慮すると、メディアをコントロールしようとすることは得策ではありません。しかし、メディアにうまく対応し、影響を与えることは可能です。状況に応じて正しい方法でアプローチすれば、好ましくない注目を浴びる状況を切り抜けることも不可能ではありません。
メディアの注目を受ける可能性のある状況は様々で、例えば、勤務先の会社が経済的危機に直面しており、不正会計の疑いをかけられたときや、家族の一員が薬物乱用などの犯罪で逮捕されたとき、また否定的な報道はされてないにしても単純にプライバシーの侵害をメディアから受けたときなどが例に挙げられます。
注意:各々の状況は少しづつ違うため、状況に応じた対応が必要です。特に、社会的に注目度が高い場合などは、専門家の助けを求めることをお勧めします。ここでは一般的なガイドラインを紹介します。
◇メディアからの注目に向け準備する
・自分の生活と会社の生活を別のものと考える人は多いかもしれませんが、メディアや他の一般の人々がそのように考えるかは分かりません。転機に差し掛かったときや、難題に直面した際には、常に個人的、または会社の生活に対する影響を考えることが大切です。
・重要な立場にいる場合、または議論を醸し出すような立場にいる場合には不都合なシナリオを予測し、またそれに向けた対処法を準備します。
・一般的な意見を下調べすることによって支持派と反対派の位置を見極めます。あなたの立場およびその行動に対して起こるであろう反応を検討します。
・あなたのとる行動によって活動家や圧力団体からの注目を浴びる、もしくはあなたの行動が世間的に広く反対される可能性がありますか?
・法人環境にいる場合には特に、一環した対応を行うことが出来るように、広報部やほかのチームのメンバーとともに密接に動いてください。
・もしそのようなチームが周りにいない場合、必要に応じて専門家(広報や法務など)に連絡をとることができるようにしてください。
・メディアに報道された他の人々の例を参考にしてください。これは効果的な方法を見極めるのに便利です。
・例えば、外国にいるなどの理由で、準備段階を踏むことが出来ない場合には、出来るだけ早い段階で、あなたを助けてくれ、アドバイスをしてくれる人との連絡先を見極め連絡をとることです。大使館や領事館、セキュリティ、広報、法務顧問などが例に挙げられます。
◇メディアの注目に対応する
・メディアからの注目が予測される、もしくはメディアから注目されている場合には、どの情報を与えることができるか、どの程度まで状況を与える準備があるか(または情報を与えなければならないか)を決定する必要があります。
・主張するべき主な情報を決定してください。
・決定された情報を伝える相手を決定してください。
・公表する声明を準備します。
・公表するためではなくチームや同僚、知人、家族が難しい質問をされたときに役立つよういくつかの質問と答えを用意しておきます。質問や答えを準備する際には十分に注意してください。もし外部の目に触れる可能性のある場合は、特に掲載する情報に注意してください。
・もしも否定的な情報が公表される恐れが場合には、可能な限り抑制する方法を熟考してください。自ら事前に公表した方が良いのか?それとも先手を打って情報をメディアに事前に提供する方が良いのか?
・社員、家族など、メディアに触れる可能性のある関係者とのコミュニケーションを密接に取ってください。状況を説明し、一環した対応を準備しておきます。
・自らメディアに対して話す、または代理人を立てる場合、話し手の訓練を徹底してください。
・可能であれば、第3者の介入と支持を得、意見に対するサポートを獲得してください。第3者の例としては政府関係機関、警察、大使館職員などが挙げられます。
・余分に資金や設備を投入する必要はありますか?情報管理や望まない電話が間違った人や家族にかかってくるのを避けるために専用の電話番号を設置する必要がありますか?
・可能な限り、情報を与え続けてください。情報を出さない場合、メディアが他の情報源を探す可能性が高くなります。
・写真そのもの、もしくは写真撮影の機会を提供することを考慮してください。メディア自ら写真の獲得に動くことを回避することができます。
・家の玄関もしくは路上では、インタビューされる可能性に備えてください。このような状況では必ずしもインタビューに応じなくてはならないわけではありません。例えば、声明文を発表するつもりはあるが、正式な日時を待つつもりだという返事をし、そのコメントについて確実に後でフォローアップをするというのも良い方法です。
・例え予期せずしてメディアと対面することになった場合でも、防衛的な姿勢は控えてください。常に前向きに自信をもって話してください。
・これは電話での対応にも当てはまります。取り入っているので返事をする前に時間が必要だと言うこともひとつの方法です。
◇会見・インタビュー
・伝える内容を準備し、リハーサルしてください。
・全てのマイクに電源が入っており、カメラは収録中で、あなたの発言した内容の全てが報道されると考え行動してください。
・いくら感情的になっても、攻撃的な態度や怒りを見せることは避けてください。
・適切であれば、同情心や悲しみを見せても構いません。責任や説明が必要な場面では、取調べや法的手続きが済む前に公的に謝罪することによりさらなるダメージを与えることもあることから、以下のアドバイスを参考にしてください。
・手元の情報に基づいて推測をしない。
・状況によっては、例えば安全や経済的保障について、消費者などと和解するなど、可能な措置を取ってください。
・会見などの際に、準備が足りないと感じた場合には、公に声明を出した後に異なる供述することは大変難しく、時には不可能であることに留意してください。理想的ではありませんが、そのような状況下ではコメントを避ける方が懸命です。可能な場合には専門家い助言を仰ぎ、後に返事をして下さい。