エレベーター内に閉じ込められた場合
エレベーターが故障して停止する理由はさまざまです。例えば、エレベーターが規定以上の重量を感知した場合には一旦2、3分停止し、その後一番下の階まで降りてドアが開くことがあります。これは安全機能のひとつです。また、停電が原因であったり、明らかな理由や故障なしに階と階の間で停止し、人々が閉じ込められる事態が起こることもあります。いずれにしても愉快な経験ではありません。
以下はこのような事態に遭遇した場合の対処法です。
◇エレベーター内にいる場合
エレベーター内に閉じ込められた際における一番の問題はパニックです。これを避けるためには以下のような行動が適切です。
・落ち着いて、パニックを起こしかけている人を安心させ、励ますようにしてください。
・救助が来ること、さらに、エレベーターは故障してもシャフト内を落下する危険はないことを周囲に説明してください。
・停電で電気が消えても、エレベーターの自動停止装置は機能し続けることも説明するようにしてください。
・率先して、エレベーター内の緊急電話を使用したり、警報装置を鳴らすなどして救助を求めてください。携帯電話を使用することもひとつの方法です。その際には、以下のような情報を通話の相手に提供するようにしてください。
– 建物の名前
– そのビル内で故障中のエレベーターの番号や場所
– もし分かれば、どのあたりで停止しているか
– 医師が必要かどうか
・警報装置がエレベーター内になく、その他外部と接触をとる方法がない場合には、ドアを強くたたき、大声で叫んで外部の人々の注意を引くようにしてください。
・外部との接触が取れたら、エレベーターが停止している旨を伝え、専門家の助けを呼ぶよう依頼してください。その際に何人エレベーター内にいるか、また緊急に医師の援助が必要であるかどうかも伝えてください。
・エレベーターに閉じ込められた場合には、どこで停止しているのかが分かりにくいので、外部の専門家の助けなしに脱出することは勧められません。
・内側のドアを無理に開けようとはしないでください。もし開けられたとしても、外のドアに近づいてそれを開けることは困難で、さらには這い上がって脱出することもほぼ不可能です。
・エレベーターの天井にあるハッチに上ってそこから出るというような行為は避けてください。ハッチが開いている場合には電気系統がエレベーターの動きを止めます。しかし、何かの拍子でそれが閉まると、エレベーターが急に動き始め、転倒することもあります。また、シャフト内は暗いため、ケーブルに躓いたり、オイルで転んだりして、天井から振り落とされる危険性もあります。
・救助が来るまでに長時間を要することはほとんどないため、このような事態に遭遇した際に取るべき方法は、そのまま落ち着いて救助が来るのを待つことです。独自に脱出を試みることにより事態が悪化することもあります。
◇外にいる場合
救助を求める人々の声を聞いたら、次のような行動を取りましょう。
・事態を把握したこと、救出が行われるよう関係者へ連絡をすることを内部の人々に伝え安心させてください。
・閉じ込められている人数と医師が緊急に必要かどうかを確認してください。
・その建物の守衛、管理者や責任者に連絡し、エレベーターの技師を呼ぶように依頼してください。このような関係者がビルにいない場合には、最寄の管理責任者の事務所を尋ねるか、電話連絡するかなどして事態を報告してください。
・エレベーター技術者が来るのに時間がかかる場合には消防署に連絡してください。消防隊員は通常、ウィンチを使用してエレベーターを上げ下げし、近くの階へ動かしてドアを開けます。エレベーターの機能は手動操作が優先する仕組みになっているので、電力供給が停止してもこの処置は可能です。
・可能であれば、エレベーターのドアの外で内部との連絡を取りあい、すでに関係者に連絡が付き、救助がすぐに来ることを伝えます。中に閉じ込められた人達にとっては救助関係者と連絡がつく事がわかるだけで精神的に安心します。