社会不安
人々の身の安全に影響を及ぼす社会不安という現象は、数多くの国で頻繁に発生し、特に政治的変化の渦中にある国で多く発生しています。社会不安を引き起こす要因は多様ですが、労働争議、社会・政治問題への抗議が主な理由となっています。
社会不安は小規模の組織された示威運動から、大規模なデモや暴動に至るまで様々な形で現れます。統制されたデモや示威運動でも、扇動者や治安部隊の行動によって、容易に暴動となる危険性を秘めています。興奮した抗議者たちは前触れもなく攻撃的になることがあり、その怒りが暴走して当初の意義を見失い、暴徒と化すことがあります。これらの暴動が特に旅行者を標的にするということはありませんが、偶然その場所に居合わせたというだけで、旅行者が暴動に巻き込まれ、攻撃の標的となる可能性もあります。
以下の留意点に加え、海外旅行を計画の方は国別情報ページにおいて社会不安の危険度に注意し、またニュースやその他のメディアで、その国に関して十分な情報を得ると共に、慎重な計画を立てるようにしてください。
◇危険の回避、軽減
・渡航先の情報を収集してください。
・政情不安の地域を旅行する場合は、最近の暴力的なデモの有無、デモが発生していた場合はデモに至った理由、当局はどのように対応したか等の情報を入手するようしてください。国によっては当局側がデモを解決するため、すぐに暴力的な対処に出る場合もあります。
・緊迫した地域にいる場合は最新の現地情報を入手するように努め、状況を把握するようにしてください。また、大使館などに連絡を取り、定期的に最新情報を提供してもらうよう依頼することをお勧めします。
・デモが発生するという情報を得た場合、その場所は避けるか、または状況次第では滞在先に留まり、安全が確認できるまで、外出を控えるようにしてください。
・デモが発生している際の外出は、デモが行われている場所を正確に把握し、その場所を避けるようにしてください。地図を携帯し、現在地とデモが発生している場所の距離を常に確認するようにしてください。
・デモに遭遇してしまった場合は、野次馬的な好奇心は押さえ、すぐにその場から離れ別のルートを使って、目的地に向かってください。
・デモが頻発する地域への訪問を避けられない場合は、単独で訪れることは避けてください。なるべく複数で行動し、お互いに注意し合って離れずに行動してください。
・警察や機動隊の活動が続いている場所は必ず避けてください。
◇群集に遭遇した場合
・デモに巻き込まれた場合は、比較的安全である群集の端への移動を試みてください。群衆の主導者からは可能な限り離れ、デモの一員だとみなされることを避けてください。
・適当な避難場所を探してください。近くの建物に入るか、玄関口、小路、脇道などで群集が通り過ぎるまで待機してください。
・群集の端に移動することができ、デモから離れる機会を得たら、決して走らず、歩き去ってください。走ると、周囲の注意を引く恐れがあります。
・警察や軍隊に逮捕された場合は、抵抗しないでください。落ち着いて警察などの指示に従い、大使館などに連絡して、支援を要請してください。
・群集の中に巻き込まれた場合、商店などのガラス戸から離れ、流れに沿って動いてください。
・群集の中で押し潰されそうな危険が生じた際は、手首をしっかりと握り、ひじを外側へ張り、少し前かがみになることで多少の空間が確保され、呼吸をすることができます。
・地面に倒された場合は、壁際に寄るように努め、頭を両手で覆うようにし、体を小さく丸めてください。
・群集は短い時間で通り過ぎて行くため、パニックを起こさず、常に冷静さを保つようにしてください。
・銃声を聞いた場合、身をかがめ、地面に伏せ、頭と首を両手で覆いながら、できるだけ低い姿勢を保つようにしてください。
◇滞在先にいるとき
・ホテル、ゲストハウス、アパートや自宅も含む。
・滞在先から出ず、通りに出ないようにしてください。
・大使館、または友好国の大使館に連絡し、現状に対するアドバイスを求めると共に、デモが起こっている場所に関する詳しい情報を尋ねてください。
・銃声や爆発音を聞いた場合は、直ちに窓から離れてください。自室の窓から外を確認することは絶対にしないでください。カーテンやブラインドを閉め、破片が飛び散るのを防いでください。
・通りに面している側のドアや窓が開いている場合は、それらを閉め、しっかり鍵をかけてください。
・銃弾や石、火炎瓶などから身を守るため、内側にある部屋で就寝してください。
・オフィスなど、ビジネス関連の施設にいる場合は重要な書類、高価な機器などを安全な場所に移動しておいてください。
・デモがホテル外部で行われている場合は、ホテルのスタッフと連絡を取り合い、外部の情報を得てください。
◇車内にいる場合
・群集の中を運転するようなことはしないでください。
・もし運転中に群集と遭遇した場合は脇道にそれるか、バック、またはUターンをしてその場から離れてください。
・その場から立ち去ることが困難であれば、車から下り、鍵をかけて、わき道や建物の出入り口なんどで事態が収まるのを待ってください。
・上記の行動を取る時間がない場合は、車を停め、エンジンを切り、ドアに鍵をかけて、群集が通り過ぎるまで、車内で静かに待機してください。群集に向けて、敵意や怒りを表すことは危険ですので、絶対にしないでください。
◇事後の行動
・あなたが今滞在している場所が安全で無い場合と判断される場合には、安全な場所を探してください。
・もし負傷した場合は、すぐに救急援助を求めてください。家、車、その他の所有物に損害を受けた場合は、警察に報告してください。
・現在の状況、居場所を家族、友人、会社に連絡してください。
・暴動が起こったことを現地の警察へ伝え、その巻き添えになったことを証明できる書類を発行してもらってください。
・必要に応じて、保険会社にその旨を報告し、損害に対する補償を請求してください。