アパートでの安全対策
アパートにおける犯罪で最も被害が多いのは、侵入強盗です。強盗は、住人が学校や仕事で留守にしている日中に行われることが多く、夜間にも留守宅を狙った強盗犯罪が行われています。主に侵入・逃走経路が容易に見つかり、人目につきにくい留守宅が狙われています。
犯罪者の多くは若い男性で、小さく、高価で、簡単に現金に換えられるものを狙っています。現金、宝石類、時計、ノート型パソコン、その他の小さな電子機器が主な標的です。換金された現金は、生活費や薬物購入に使用されているとみられています。統計によると、30パーセント以上の犯人は、鍵がかけられていないドアや窓から不法侵入しています。
◇常識
マンションの安全対策における最も重要な点は、常識的に行動することです。外出する際は、必ず戸締りをするようにしてください。簡単なことですが、短時間の外出の際に、多くの人がドアに鍵をかけることを忘れてしまいがちです。数分間の外出でも、ドアには必ず鍵をかけるようにしてください。ゴミを出しに階下に行く間に、犯人はアパートに侵入し、貴重品を盗むことがあります。
新しい環境に慣れるまでは、常に警戒するよう心掛け、特に夜間に単独で帰宅、外出する際は十分に注意してください。
◇表札
・玄関に表札をつける際は、氏名を記載せず、苗字だけを記載するようにしてください。英語で書く場合は、名前のイニシャルと苗字を記載してください。
・犯人は特に一人暮らしの女性宅を狙う傾向があります。一人暮らしの女性は、表札に男性の名前を記載するか、苗字のみを記載するようにしてください。
・郵便受けや、アパートの正面玄関のインターフォンに名前を記載する際も、同様の点に注意してください。
◇エレベーター
マンションのエレベーターは、時に女性にとって危険な場所になり得ます。多くの女性は、見知らぬ人と2人でエレベータに乗ることに不安感を抱いています。万が一、脅迫されたり、襲われた場合、抵抗できなくなることを恐れています。もしエレベーターで見知らぬ男性と一緒になり、不安な場合は、ドアと階表示ボタンの近くに立ち、すぐに動けるようにしてください。毅然とした態度で、目を合わせ、時間や天気について会話をするようにしてください。相手と会話を交わすことで、その人が危害を加えてこようとしているのかどうか、ある程度察しがつくでしょう。次の階で、エレベータを降りてください。
帰宅途中の女性を狙っている犯人の手口は、マンションの入口のエレベーター付近で待ち伏せをし、女性がエレベーターに乗ったら後からすかさず 乗ってきます。女性が押したボタンで階を確認し、一つ前の階で降り、階段で急いで上の階に行きます。そして、女性がエレベーターを降り、部屋の前に行くのを待ち、玄関を開けたときに内部に無理やり侵入します。
別の手口は、マンションの入口のエレベータ付近でアパートの住人と電話で話している振りをして、「今行くから」と電話で話しながら、女性住人とともにエレベータに乗り込みます。電話の会話から、犯人が住人と話しているという印象を与え、女性を安心させ、警戒心を緩めます。電話で話し続けながら、女性と同じ階でエレベーターからおり、女性が玄関のドアを開けると同時に、無理やり侵入してきます。
この種の犯罪被害に遭わないためには、玄関のドアを開ける前に、周囲に不審人物がいないか確認することが大切です。もし、不審人物が後をつけてきている場合は、自宅のドアの前では止まらず、確実に家にいると思われる隣人宅に向かってください。不審者がそれでもついてくる場合は、隣人宅のドアをノックし、状況を説明してください。
もし、思い当たる隣人がいない場合は、自宅のインターフォンを鳴らし、ドアをノックするなど、誰かを訪ねてきている印象を与えてください。もし不審者がそれでも立ち去らない場合は、少し待ってから、歩き去ってください。この対応は同時に、家が留守だということを相手に知らせることにもなります。後にすぐに警察に連絡し、状況を説明しましょう。
別の対応策としては、玄関を開ける前に同様に、インターフォンを鳴らし、ドアをノックし、誰かがいるように見せかけます。そして、ドアを開け、「ただいま」といいながら部屋に入ります。これにより、犯人は無理やり侵入してくるのを躊躇します。その間にすぐに玄関に鍵をかけてください。
◇良好な隣人関係を築く
隣人の助けが必要になる時がいつ来るかわかりません。お互いに助け合える良好な隣人関係を築くよう心がけてください。アパートの両隣2軒とは、知り合いになることをお勧めします。良好な関係を築き、部屋に招待したり、頻繁に会話を交わすことで信頼関係を築いてください。
◇建物の正面玄関
正面玄関が開いたままのアパートでは、不審な人物でも簡単に出入りすることができ、アパート内で人々の動きを監視することが困難なため、犯罪が起きやすくなっています。住民とその訪問者のみがアパートに入れるように住民達が注意する必要があります。
訪問者がインターフォンを押し、住人がアパート敷地の正面玄関を開ける、電気式の門が設置されているアパートに居住するのが理想的です。この形式のアパートは日本では稀ですが、この場合、住民は見知らぬ人に正面玄関を開けないよう注意する必要があります。ドアを開ける前には、常に訪問者を確認するようにしてください。特に帰宅、外出の際に正面玄関を開けたすきに、不審者が入ってこないように気を付けてください。
アパートの正面玄関は十分に明るく、犯人が隠れられるような暗い場所などが無いことを確認してください。
◇自宅玄関
玄関や裏口のドアの安全が確保されていない場合、犯罪被害に遭う危険が高まります。犯人は侵入が困難なアパートは狙いません。しかし、犯人がどうしても侵入したい場合は、どんな方法であれ、侵入することが可能です。
アパートの安全を確認するにはまず、全てのドアに鍵がついているか確認してください。玄関のドアは犯罪被害を防ぐ「最後の砦」です。そのため、適切な鍵を取り付けることが重要です。
ドアには最低2つの鍵を取り付けてください。一つはドアノブ付近の通常の位置に、もう一つはドア上部から3分の1くらいの位置に設置してください。この配置が、最も安全であると考えられています。
ドアに埋め込み型の鍵(通常よく使用される、デッドボルト錠)は、両側から鍵がかけられるものにしてください。
一般的に、上部の鍵にはリムロックが用いられています。リムロックの特長は、ドアが閉まると自動的に施錠する仕組みです。鍵はかかりますが、この種の鍵はあくまでもそれだけでは十分とは言えず、多くの場合クレジットカードや金物定規を掛け金とドアの間に挿入することで開錠することができます。最新型の鍵では、この開錠方法は通用しませんが、スクリュードライバーでこじ開けることが可能ですので、この種の鍵を購入する際は、最新のものを選ぶようにしてください。
ドアの上部と下部の蝶番は、接合部分がドアの内側になるように取り付けてください。鍵や蝶番は、強力なねじでドアにしっかり固定してください。
玄関のドアにのぞき穴を設置し、訪問者がドアを開ける前に確認できるようにしてください。玄関の外は、訪問者を確認できるくらいの明るい照明を設置してください。
玄関チェーンをつけることもお勧めします。すでに設置されている場合は、最低でも3センチ以上の長さのねじで留められていることを確認してください。
◇窓
一階の窓や、バルコニー、排水溝、屋根などから侵入できるその他の階の窓には、良質な鍵をつけてください。浴室やトイレなどの小さな窓にも鍵をつけてください。犯人にとって人間の頭が入る大きさがあれば、侵入することも不可能ではありません。
目に付きやすいところに鍵をつけることで、被害を防ぐことができます。窓の鍵があることで犯人は窓を割って侵入することを強いられ、その結果、犯人は人の注意を引くというリスクを犯すことが避けられなくなります。
窓の鍵を掛けた後、鍵は安全で人目のつかないところに保管してください。
◇アパート室内の照明
犯人は留守宅を狙って犯行に及びます。そのため、外出時にも部屋に誰かがいるよう見せかけることが大切です。室内照明は、部屋が留守かそうでないかを示す重要なポイントになります。数日間、室内の照明がつけられていない場合、犯人はそこが留守宅であることを察することになります。
室内の照明をつけっぱなしで外出することで、犯人に留守でないという印象を与えることができます。タイマーを使い、室内のさまざまな照明を好きな時間につけたり消したりすることができます。実際の行動と似たパターンで照明をつけたり消したりすることで、室内で動きがある印象を与えることができます。
同様に、タイマーでテレビやラジオをつけたりすることもできます。暗くなってから、カーテン越しにテレビがついていると、誰かが家にいる印象を与えることができます。同様に、ラジオやテレビの音量を大きくすれば、ドア越しに聞くことができます。
また、暗い室内に戻ることを避ける事ができて、安心です。
◇アパート敷地内の照明
アパート外部に適切な照明を設置するようにしてください。犯人は人目につくことを嫌うため、適切な照明設備を設置することで、被害に遭う可能性を下げることができます。
共同の駐車場に車を止める場合、または駐車場からアパートまで少し歩かなければいけない場合、外部の照明は特に重要です。明るい照明がある場合は不審な人物が後をつけていないか確認することができ、事前に危険を感じた場合、さまざまな対応策をとることができます。
照明設備の整備はアパートの管理人の仕事ですが、住人は壊れた照明を報告するなど、常に協力してください。電球が切れている場合や、適切な照明設備がない場合は、管理人に報告してください。
◇駐車場
アパートの駐車場は安全で、照明が設置されている必要があります。入居者だけが、リモートコントロールやカードによって、駐車場に進入できる形が理想です。駐車場には門が設置されており、車が通過すると同時に自動的にしまるものである必要があります。門付近は明るく、隠れることの出来るような陰が無いことが理想です。
見知らぬ人を駐車場スペースに入れることは避けてください。駐車した後で何か異変を感じる場合は、信頼の置ける近所の人に電話し、駐車場まできてもらうか、数分後にドアをノックするという旨を伝えましょう。そうすることで、何か起こった場合に、隣人は異変に気付くことになります。
駐車場での安全確保については、こちらをご覧ください。
◇犯行に遭遇したら
帰宅した際、部屋の中に人がいる気配を感じたら絶対に入らないでください。玄関から離れ、警察にすぐに連絡してください。必要な場合は、隣人に電話を借りてください。最も大切なことは、後に延ばさず、すぐに連絡することです。アパート内に警備員がいる場合は、すぐに報告してください。
家の中が荒らされていても、犯人の指紋、犯行に使われた器具の跡など、証拠を確保するために、警察が到着するまでは家の中のものを動かさないようにしてください。警察が、動かしていいものと動かしてはいけないものを指示します。
犯罪の被害にあった場合は、隣人にそのことを伝えてください。不審な人物の目撃情報など、有用な情報を提供してくれるかもしれません。
◇外出時
強盗は留守宅を狙って犯行に及びます。外出や旅行の際は、特に念入りに対策を立てるようにしてください。
大切なことは、部屋が留守であることを気づかれないようにすることです。電気、テレビ、ラジオなどのタイマーを使い、家に誰かいるように見せてください。
マンションの管理人や信頼の置ける隣人に、旅行の出発、到着日および緊急時の連絡先を前もって知らせておいてください。
新聞や郵便などの配達を一時停止するか、隣人に定期的に取ってもらうようにしてください。
部屋に宝石などの高価なものを置いていかないようにしてください。一緒にもって行くか、信頼できる友人や家族に預けるか、銀行などの貸し金庫に入れるようにしてください。
◇予備の鍵
鍵を忘れて、室内に入れないことがないように、信頼の置ける隣人に予備の鍵を預けておきましょう。予備の鍵を、自宅の外に隠しておくのはやめてください。隠し場所が限られているため、犯人に知られる可能性が非常に高いです。