車両盗難防止装置
警視庁の統計によると、2004年度の車両盗難件数は過去最悪の数字であった2003年の6万4,223件を下回ったものの、日本の車両盗難事件は過去に比べ増加しています。両年とも、施錠されていた車両の盗難が、鍵をつけたままの車両の盗難件数よりもはるかに多く(警視庁によると、盗難車総数5万8,737台のうち4万2,738台が施錠状態でした)、車両盗難防止装置の重要性が注目されています。車両盗難防止装置の装備は、車両盗難の多いヨーロッパでは1997年に義務化されており、2000年にイギリスで行なわれた調査では、盗難防止装置装備車は未装備の車両に比べ42パーセントも盗難される確率が低いという結果が出ています。
車両盗難防止装置には大きく分けて2種類あります。ひとつは、手動のシフトロックやハンドルロックなど、もうひとつは電気式のイモビライザーです。シフトロックなどの器具は、安価で購入することができ、取り扱いも簡単です。イモビライザーは、前述の装置と比べ割高で、取り付けには工事が必要となります。
イモビライザー装備車は車両保険の割引対象となることがあります。加入している保険会社へ問い合わせることをお勧めします。
◇手動
・ハンドルロック型
鉄の棒をハンドルに絡ませロックする方式です。ハンドルがロックされるため、ハンドルを動かすことができません。
・シフトロック
シフトレバーを固定し、ギアのチェンジを不可能にします。新型車のなかにはシフトロックが内蔵するものもあります。
シフトロックには様々な種類があるため、保険会社で承認しているものを確認し、購入するようにしてください。
◇シフトロックやハンドルロックの長所
・アラームの誤作動がない
・マニュアル車、オートマチック車を問わず装着が可能
・電池に頼らなくてもいい
・視覚的に効果がある
・簡単に使用できる
・費用が安価
◇イモビライザー
イモビライザーは、鍵に埋め込まれた電子チップのIDコードと、車両のIDコードを電子的に照合させ、照合しない場合は合鍵を使用しても車のエンジンがかからないシステムです。日本でも高級車を中心に標準装備となりつつありますが、標準装備されていない場合でも取り付けが可能です。しかし車種によっては取り付けが不可能な場合もありますので、専門店などで確認する必要があります。イモビライザーには様々な種類があり、センサーが異常を感知しアラームを鳴らすものから、感知した異常を車の持ち主へ知らせる機能がついたもの、また車両が盗難された場合、インターネットなどで車の位置が確認でき、遠隔操作でエンジンを停止させる機能が付いたものもあります。さらに高級車の中には、鍵側の送受信機と電気系統側の送受信機で情報を交換しあい、乱数表を使って1日ごとにIDコードを書き換えているものもあります。
最先端の技術を駆使した車両泥棒も存在します。更なる盗難予防対策として、イモビライザーが外部から発見されないようにコントロールボックスの中に再配置しておくことをお勧めします。
イモビライザーが標準装備されているか否かは、車のパンフレットで確認することができます。また、車両保険などのために後付けでイモビライザーを取り付けた際には、イモビライザーの種類などの詳細が記載された証明書をきちんと保管しておいてください。