車両火災
車両の火災による死亡者は非常に多く、日本のほか、イギリス、アメリカでは毎年数千件もの車両火災が報告されています。
車両火災は、車に大きな損害を与えるのみでなく、ドライバーや周囲の人にも大きな被害を及ぼします。最近の車の内装は、ポリマー、プラスチックなどの合成素材を使用しており、火災の際、これらの素材からは、無味無臭、無色の致命的な有毒ガスである一酸化炭素が発生します。
火災により、致命的、もしくは完治が非常に難しい火傷を負う危険性があります。車両火災では、炎の温度は800度に上がり、3メートル以上の火柱が立つ場合もあります。高温のため破裂した車のパーツが周囲遠方へ飛び散り、また比較的稀なものの、破裂したガソリンタンクから吹き出たガソリンがさらなる火災を招いたり、バッテリー液(希硫酸)などの有害な液体が漏れ出す可能性があります。
◇車両火災の原因 ― 放火
総務省消防庁によると、放火および放火の疑いによるものが、車両火災の原因のうち最も多く、約23パーセントを占めています(2004年度統計)。イギリスでは、盗難車両の証拠の隠蔽や、車両の不法投棄の際などに、主に放火が行われています。また、車両保険を請求するために故意に車に火をつける場合もあります。いたずらによる放火の割合は低いものとなってます。
◇車両火災の原因 ― 電気系統の欠陥
基本的なメンテナンスを怠ったことが原因で、未然に防止できたはずの車両火災が発生する場合が多くあります。
・日ごろから電気系統の配線を確認してください。ワイヤーが老朽化または破損している場合は速やかに新しいものと取り替えてください。
・接続の緩いワイヤーが外れ、金属と接触した際に火花が飛び散ることがあります。
・くぎやアルミホイルを使った手製のヒューズは使用しないでください。必ず規格に合ったものを使用するようにしてください。
・サイズの合わない配線を使用するのは危険です。部品が正しく接続されるように作られていることを確認してください。
・電気系統の修理や取り付けは、資格を持った専門家へ依頼することをお勧めします。
◇車両火災の原因 ― 燃料系統の欠陥
・漏れを防ぐため、燃料配管の接続を定期的に点検してください。
・ガソリンタンクが腐敗していないか確認してください。
・キャブレターから漏れる気化したガソリンに、ディストリビューターやスターターモーター、もしくは配線ミスなどによる火花が着火する場合があります。
・燃料配管が老朽化している場合、ひびや穴が開く恐れがあるため、取り替えてください。
◇煙が発生した場合
車両火災が発生した場合、自分と同乗者の命を最優先してください。車は取替えのつくものであっても命は取替えることができません。最も安全な方法を考え、行動してください。
・火災に気がついた際には速やかにスピードを落とし、路上へ駐車してください。
・エンジンを止め、ボンネットを開くレバーを引きますが、ボンネットそのものは開けないでください。
・すべての乗員は、車から離れた場所へ避難してください。
・可能であれば、後続車に知らせる人を配置してください。
・もし車が車庫などにある場合は、直ちにそこから避難してください。
・車から安全な距離へ離れた後、消防署へ連絡を取り、火災の場所を伝えてください。
・安全な場所に留まり、燃えている車の中へ物を取りに行ったりしないでください。
・もし安全だと確信のある場合は、消火器で鎮火を試みてください。
・エンジン部分で火災が起きている場合は、ボンネットを開けないでください。酸素が入る事により炎が大きくなり、火傷の原因となります。ラジエーターグリルの部分やボンネットの端から消火粉や消火剤を注入してください。
・消火器を使用する場合は、自らの安全にも気を配ってください。消火器は安全な位置から使用し、いつでも車から引き下がれる体勢をとってください。もし消火に関して確信がない場合は、無理な消火活動は行わないようにしてください。
・エンジン部分に水をかけないでください。ワイヤーがショートし、漏れている燃料に着火する場合があります。燃えている燃料に水をかけると事態が悪化します。